2017年月組『グランドホテル』-そこへ訪れては去りゆく人々・・・人生は続く、回り続ける回転扉のように

しらこまる

こんにちは、しらこまるです!

今回は2017年月組『グランドホテル』をご紹介します。

ヴィッキー・バウムの小説を舞台化したミュージカルを原作とし、宝塚歌劇では1993年月組で初演された『グランドホテル』。

今回ご紹介する2017年月組版は2度目の上演であり、当時トップスターに就任したばかりだった珠城(たまき)りょうさんの大劇場お披露目公演でもありました。

※公演の詳細はこちら→宝塚歌劇団公式HP

DVD収録情報

  • タイトル:ザ・ミュージカル『グランドホテル』
  • 脚本:ルーサー・ディヴィス
  • オリジナル演出・振付・特別監修:トミー・チューン
  • 演出:岡田 敬二 / 生田 大和
  • 主な出演者:珠城(たまき)りょう / 愛希(まなき)れいか / 美弥(みや)るりか
  • 収録年月日:2017年1月20日 宝塚大劇場にて
  • 同時上演(収録):モン・パリ誕生90周年レヴューロマン『カルーセル輪舞曲(ロンド)』

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あらすじ

1928年、ドイツ・ベルリン。舞台は世界的に有名な超高級ホテル、『グランドホテル』。

今日も人々が回転扉を通り、やって来ては去って行く・・・様々な事情を抱えた宿泊客、ホテルで働く従業員など、多くの人々の人生が交錯する場所。浮かび上がる人生の縮図・・・。

フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵【珠城(たまき)りょうさん】は、美しく魅力的な青年貴族。

一見優雅な長期滞在客だが、実は多額の借金を抱えており、時折現れる運転手に返済を迫られている。借金返済のために盗みをそそのかされ、仕方なく応じてしまう。

エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ【愛希(まなき)れいかさん】は、ロシアの高名なプリマ・バレリーナ(ただしフランス人)。

自身にとって5回目の引退興行の途上でグランドホテルへやって来るが、世間からは忘れられつつあり、チケットは全く売れない。

踊りへの希望や情熱を失いかけていたが、彼女の部屋に盗みに入ったフェリックスと出会って“真実の愛”を知り、再び生きる喜びを見出していく。

グルーシンスカヤと共にグランドホテルへやって来た忠実な付き人、ラファエラ・オッタニオ【暁 千星(あかつき ちせい)さん】。

友情を超えたグルーシンスカヤへの思いを胸に秘めつつ、22年もの間、人生の全てを捧げて彼女に寄り添い生きてきた。

みすぼらしい身なりの元簿記係、オットー・クリンゲライン【美弥(みや)るりかさん】。

自身が不治の病に冒されていることを知り、最後の日々を過ごすと共に「本当の人生」を見つけようと、グランドホテルにたどり着いた。

フリーのタイピストで、映画女優になることを夢見るフリーダ・フラム(フラムシェン)【海乃 美月(うみの みつき)さん】は、仕事を求めてグランドホテルへやって来た。

到着早々、早急に資金を必要とする新たな事情が発生していることが判明する。

グランドホテルのフロント・デスクで働く従業員、エリック・リトナウアー【朝美 絢(あさみ じゅん)さん】。

間もなく出産をひかえた妻がいるが、職場を離れられず、病院からの電話に気を揉んでいる。

きらめくシャンデリアと流れ続ける音楽の下、それぞれの人生が交錯していく・・・。

見ごろ!見どころ!オススメどころ!

幕が開き、珠城(たまき)りょうさん演じるフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵が現れて静かに歌い始めると、グランドホテルの宿泊客や従業員に扮した出演者たちが、舞台中央の回転扉を通って次々と登場し、やがて力強い歌唱へと発展していきます。

音楽と物語の流れに身をあずけているうちに、私たちはいつの間にか1928年のドイツ・ベルリン、グランドホテルの世界観に染まっている…。

この項目では、そんな本作の魅力やオススメの場面についてご紹介します!

出演者の演技と椅子の移動のみで表現される世界観!

1つのホテルの中で繰り広げられる人間模様を、華やかさと哀愁と共に描き出す本作。

舞台上にあるのは燦然と輝くシャンデリア、回転扉、柱、椅子のみ。

出演者の演技と椅子の移動、照明の当て方によって、そこはロビーや客室、バーなど…舞台はグランドホテルのどこにでもなり、場面ごとの登場人物たちの心情が繊細に浮かび上がってきます。

宝塚歌劇ならではの豪華な装飾や装置、大掛かりな舞台転換が一切無いにも関わらず、グランドホテルの高級感や、様々な人生が交錯する空気感を創り出せることに心動かされ、限りなく広がる舞台表現の可能性を感じることができます!

しらこまる

本作を観劇したとき、「こういう舞台を作ってみたい!演出家になりたい!」と心の底から思ってしまうくらい衝撃を受けました。

年齢的にもう手遅れですが、舞台芸術の素晴らしさを実感して、この世界に携わりたいと強く心惹かれました。

気づいたら「人生」や「生き方」について考える自分がいる?!

「物語に入り込んでいくうちに、自分が“人生とは何か、より良く生きるとは何か・・・”と考えている」ということも、本作の大きな魅力のひとつではないかと思います。

自分の「人生」や「生き方」と向き合うのは、なかなかしんどいものです。

しかし、本作の物語に見入っているうちに、無意識に自分の人生や生き方について考えている。観終わった後で、この1時間半の間にそんな自分がいたことに気がつきます。

そして、無意識に自分と向き合っていた自分に“気づく”ということが、ある種の癒やしや心の支えになっている・・・個人的に、物語が持つ「人の心に寄り添う力」を強く感じた作品でもあります。

物語終盤、消えていった命と新しく生まれてきた命。

身の破滅を招いた者と希望を胸に新天地へ旅立っていく者。

愛ゆえに悲劇的な真実を伝えられない者もいれば、知らずにホテルを後にする者。

残された時間が短い者もいれば、そうでない者もいる・・・。

それでも生きている限り、それぞれの人生は続いていく。

そんな当たり前のことをしみじみと考え、その時間を深く味わうことのできる作品です。

しらこまる

グランドホテルに宿泊中の医師オッテルンシュラーグ【夏美(なつみ)ようさん】がオットー【美弥(みや)るりかさん】を見て、「彼は死にかけていて、生きたいと思っている。私は生きていて、死ぬのを待ちかねている」とつぶやく場面が印象的です。

また、フェリックスに死ぬのが怖くないのかと聞かれたオットーのセリフ。

「怖いのは死ぬことじゃないのですよ、男爵。死ですよ・・・。死ぬという行動は、まだ生きている状態から始まります。わかるでしょう?ただひとつ気になるのは、一文無しじゃ死にたくないということですよ、それじゃ人間扱いしてもらえませんからね。」という言葉は、美弥さんの差し迫った演技も相まって、一瞬恐怖すら感じた場面でした。

一糸乱れぬダンスに感動!✨

限られた舞台装置と椅子の移動、出演者たちの演技のみでそれぞれの場面が作り上げられている本作ですが、大勢の出演者によるダンスもかなり見ごたえがあります!

メインキャストが前でお芝居をしている間、後ろで大勢の宿泊客と従業員役の出演者たちが、それぞれの役の雰囲気をまとったまま、一糸乱れぬダンスを披露しています。

イエロー・パヴィリオンでオットーとフラムシェン【海乃 美月(うみの みつき)さん】が踊る場面では、一定のリズムで同じステップを踏み続けるのですが、シンプルでゆったりした振りだからこそ一切のごまかしが通用しないダンスを、全員がピシッとそろえたままの状態で約10分間踊り続けます。

また、株で大もうけしたオットーが、気分を高揚させて酒を飲み、楽しく踊り狂う場面で、フェリックスとオットーを中心にチャールストンを全員で踊る場面も圧巻です!

しらこまる

ダンスと言えば、盲目の伯爵夫人【憧花(とうか)ゆりのさん】とジゴロ【紫門(しもん)ゆりやさん】が所々でワルツを踊っています。

その2人の物語にもスポットを当てて欲しかったなあ、と贅沢をつぶやく今日この頃です。(笑)

しらこまるのタカラヅカ小話「観劇当時の思い出」

本作の観劇当時はまだコロナ前で、タカラジェンヌさんの入待ち・出待ちがあり、私もそれぞれのファンクラブの後方から、タカラジェンヌさんたちのお姿を拝見させて頂いていました。

特に、本作を東京宝塚劇場で観劇した後の出待ちで、初めて至近距離から朝美 絢(あさみ じゅん)さんを見たときのことは忘れられません。

本作では、出産をひかえた妻がいるホテルのフロント係エリック・リトナウアー役を、暁 千星(あかつき ちせい)さんと役代わりで演じていた朝美さん。

「息を飲む美しさ」っていうのはこういうことか…と、惚れ惚れするくらい綺麗でかっこいい!

舞台上の朝美さんも大変素敵なのですが、普通のお化粧でも本当に麗しくて・・・。

ファンの方々の前に立ち、笑顔でお手紙を受け取っている姿をしかと目に焼き付けて帰りました!

しらこまる

現在は雪組の2番手スターとして活躍している朝美さん。

男役としての品格や醸し出す雰囲気が、当時よりもさらにパワーアップしていますね!今後のさらなる飛躍に期待しつつ、引き続き微力ながらも応援しています!

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!この記事が、あなたにとって「次なる宝塚作品との出会い」のきっかけになれましたら嬉しいです。

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