2017年宙組『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』革命の嵐吹き荒れるなか懸命に生きた人々の記憶

IC_神々の土地
しらこまる

こんにちは、しらこまるです!

今回は、2017年宙組『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』をご紹介します。

舞台は1916年、革命前夜のロシア。ストーリーやキャラクターの人物像など、史実をもとにしつつも宝塚歌劇らしい脚色を施し、凍てつく世界観と共に華やかなりしロマノフ王朝の終焉を描いた作品です。

主人公のドミトリーは、作・演出の上田 久美子先生が本作で退団された元宙組トップスター朝夏(あさか)まなとさんに、「宝塚での最後の役として、最も宝塚らしい正義の人を」と望んで描き出した人物。

ドミトリーをはじめ、革命の嵐のなかを懸命に生きた人々の物語に心揺さぶられます!

※公演の詳細はこちら→宝塚歌劇団公式HP

DVD / Blu-ray 収録情報

  • タイトル:ミュージカル・プレイ『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』
  • 作・演出:上田 久美子
  • 主な出演者:朝夏(あさか)まなと / 真風 涼帆(まかぜ すずほ)/ 伶美(れいみ)うらら / 星風(ほしかぜ)まどか
  • 収録年月日:2017年9月1日 宝塚大劇場にて
  • 同時上映(収録):レヴューロマン『クラシカルビジュー』

神々の土地

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あらすじ

舞台は1916年のロシア。

ペトログラードでは、怪僧ラスプーチン【愛月(あいづき)ひかるさん】に洗脳された皇帝ニコライ二世【松風 輝(まつかぜ あきら)さん】による悪政と、先の大戦で困窮した民衆の不満が強まり、革命の気運がかつてないほどに高まっていた。

ロシア帝国、ひいては約300年続くロマノフ王朝の崩壊も目前に迫る中、皇帝の従兄弟で帝国軍人でもあるドミトリー・パブロウィッチ・ロマノフ【朝夏(あさか)まなとさん】は、ペトログラードへの転任を命じられる。

肉親のないドミトリーは、モスクワにある叔父セルゲイ大公の屋敷に長らく居候しているが、皇帝を狙ったテロルでセルゲイ大公が命を落とした後も、未亡人となった大公妃イリナ【伶美(れいみ)うららさん】のもとで暮らしていた。

彼は第一次世界大戦の前線から離れることに疑問を抱いていたが、「皇帝一家の側にいて力になって欲しい」とイリナに説得され、彼女への想いを胸に秘めつつペトログラード行きを決意する。

ペトログラードで皇帝一家と共に過ごすうちに、ドミトリーはラスプーチンの不気味さに不信感を募らせていく。
特に、イリナの姉でもある皇后アレクサンドラ【凛城(りんじょう)きらさん】は、皇太子アレクセイ【花菱(はなびし)りずさん】の血友病を癒やせるのはラスプーチンの祈祷だけだと信じきっており、彼に全てを委ねている様子。

「ラスプーチンの存在が皇帝を窮地に立たせている」とドミトリーが訴えても、自身の生まれやアレクセイの病気のことで他の王族・貴族達に嫌われ、頑なになっているアレクサンドラは聞く耳を持たない。

一方、皇帝の母マリア皇太后【寿(ことぶき)つかささん】とその一派である貴族たちは、ラスプーチンを暗殺し、ニコライ二世に代わってドミトリーを皇帝に据えることで、奪われた権勢を取り戻そうと画策していた。

ドミトリーは、旧友でもある青年貴族フェリックス・ユスポフ【真風 涼帆(まかぜ すずほ)さん】にその大胆なクーデター計画を持ちかけられるもそれを拒み、暗殺ではない平和的な方法で解決できないかと模索する。

時を同じくして、ドミトリーに皇帝の長女オリガ【星風(ほしかぜ)まどかさん】との縁談が持ち上がる。
イリナの面影が心によぎるも、皇帝一家とロマノフ王朝を救えるかもしれないと考えたドミトリーはオリガとの結婚を決め、婚約披露パーティーにイリナを招待した。

そして迎えたパーティー当日。イリナは複雑な感情を抱きつつツァールスコエセローのアレクサンドル宮殿に向かうが、彼女を狙ったゾバール【桜木(さくらぎ)みなとさん】たち革命活動家による爆破事件が勃発する。

イリナは一命を取りとめたものの、ドミトリーの軍人仲間であるロマン【瑠風 輝(るかぜ ひかる)さん】や、実は活動家のアジトになっていた馴染みの酒場の人々が命を落としていく様を目の当たりにしたドミトリーは、ついにラスプーチンを殺害する。
ラスプーチン殺害に人々は熱狂するが、このクーデターは失敗に終わり、ドミトリーは“死の戦線”であるペルシャ戦線に送られることになった。

その後、英雄ドミトリーへの判決に激しい怒りを募らせる国民感情を利用し、活動家たちが民衆を駆り立てたことで革命は本格化。皇帝一家が処刑され、ロマノフ王朝は歴史の幕を閉じる。

革命を生き延びた人々はそれぞれの地で、失われてしまった華やかな日々、二度と帰れない祖国、一時代の終わりを懸命に生きた魂たちに思いを馳せるのだった―。

しらこまる

劇中、皇帝は「ツァーリ」、皇后は「ツァリーツァ」、皇太子は「ツァーレヴィチ」と呼ば れています。

見ごろ!見どころ!オススメどころ!

ここまでスケールが大きく、登場人物たちの内面や人間性を細かく描いている作品を、1時間40分程度におさめてしまうなんて・・・というのが、本作の第一印象でした。

以前ご紹介した2015年雪組『星逢一夜』もそうですが、上田久美子先生が脚本・演出を手がけた作品を一言で表すと、まさに「美しい物語」

芝居の幕が降りた後、いろんな感情がかき回されて胸いっぱいになる。まるで1冊の本を読み終えたかのような、達成感にも近いなんともいえない感覚になります。
1回観ただけで作品の虜になってしまいますが、1回観ただけじゃ深く味わいきれない。でも何かを感じる。その何かを言語化するには、正直1回の観劇だけじゃ無理!!

・・・本作もそんな物語のひとつです。この項目では、本作の魅力やオススメの場面についてご紹介します♪

歴史を勉強したくなる!

歴史や実際に起きた出来事、実在した人物をテーマに描かれた作品を観て、それらについてもっと知りたい!勉強したい!と思わせる舞台作りも、宝塚歌劇の魅力のひとつだと思います。

ロシア革命前夜のペトログラードを舞台に、約300年続いたロマノフ王朝の終焉を描いた本作は、まさにその魅力を持ちあわせた作品です。

主人公のドミトリー【朝夏(あさか)まなとさん】をはじめ、登場人物の中には実在した人物がたくさん!そして、その一人一人の人物像が丁寧に描かれている点も本作のポイントです。

例えばニコライ二世とその家族。私も遠~~い昔に歴史の教科書に載っていた、皇帝一家の写真を見たことがあります。さらには怪僧ラスプーチンの写真も…実際の彼も不気味ですね💦

  • ニコライ二世

ロマノフ王朝第14代にして最後のロシア皇帝。主人公ドミトリーの従兄弟にあたります。

本作では松風 輝(まつかぜ あきら)さんが、頼りなさそうだけど家族思いで心優しいニコライ二世を演じていらっしゃいました。

ニコライ二世の母・マリア皇太后を、男役で宙組の頼れる組長・寿(ことぶき)つかささんが堂々と威厳たっぷりに演じているのも印象的ですし、美風 舞良(みかぜ まいら)さん演じる妹のクセニヤも、冒頭で本作の時代背景を語って観客を物語に引き込んでいく重要な役として登場していました。

  • アレクサンドラ皇后

ニコライ二世の妻で、本作のヒロインであるイリナ【伶美(れいみ)うららさん】の姉にあたります。ドイツで生まれ育ち、ニコライ二世との結婚によってロシアに渡って来た女性です。

本作では男役の凛城(りんじょう)きらさんが、美しく凛としているものの、神経質で常にどこか悲しみを抱いている彼女を好演されていました。

  • ニコライ二世とアレクサンドラ皇后の子どもたち

本作では長女オリガ【星風(ほしかぜ)まどかさん】、次女タチアナ【遥羽(はるは)ららさん】、長男で末っ子の皇太子アレクセイ【花菱(はなびし)りずさん】の3人が登場していますが、実際は次女タチアナの下にあと2人妹(三女マリア、四女アナスタシア)がいました。

上の4姉妹は時々、自分たちの名前の頭文字をあわせて「OTMA」というサインを結束の象徴として使っていたそうです(←Wikipedia情報)。

皇帝夫婦と子供たちは全員銃殺されてしまいますが、四女アナスタシアだけは実は生き残っているという噂が広まり、この「アナスタシア生存説」を題材とした書籍や映画・舞台などが数多く制作されました。

しらこまる

2020年に、同じく宙組でミュージカル『アナスタシア』が上演されました。
ストーリーもさることながら、とにかく音楽が素晴らしい!!
こちらの作品もぜひ、チ ェックしてみてください♪

そのほかに登場した実在の人物たちについても、Wikipediaで『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』を検索したページの【主な配役】の項目からそれぞれの解説ページにアクセスすることができますので、ぜひ一度のぞいてみることをオススメします。

舞台の演出上、人物像や設定などは所々変更されていますが、その一人一人を個性的かつ魅力的に創り上げている脚本、タカラジェンヌさんたちの役作りなどによって、「実際のこの人たちはどんな人だったのかな?」と気になっていきます。

学校でテストのために覚えた知識はほとんど忘れてしまいますが、歴史書や関連小説、実在の人物を描いた映画・舞台などに、気になって自分から触れて蓄えた知識は、深く長く記憶に残るものです。

かっこよくて美しいタカラジェンヌさんたちによるお芝居、歌とダンス。これまた美しい音楽や舞台装置によって彩られる世界観と共に、歴史のお勉強もできちゃう宝塚歌劇!もう、最高です!…小学生の頃から宝塚にハマっていれば、私ももう少し賢い人間になれたのではないか、と思います(笑)

しらこまる

古書ですが、『最後のロシア大公女-革命下のロマノフ王家-(Amazon / 楽天市場)』という、本作の主人公ドミトリーの実姉であるマーリヤ大公女の自叙伝があります。
演出の上田久美子先生がプログラムの挨拶文の中で触れていたので、本作の東京千秋楽が終わって数週間後くらいに購入して読んでみました。

まさに本作で描かれている時代のロシアの社会情勢、皇室や貴族の人々の暮らしぶり、崩壊していくロマノフ王朝などについて、一皇族の視点から体験談を交えつつも客観的に綴られています。
興味のある方にとって大変おもしろい読みものですので、機会があればぜひ手に取ってみてください。

悲しい恋の行く末

史実をもとにした作品とはいえ、様々な形の「恋愛」「ロマンス」が必ず描かれるのが宝塚歌劇の特徴でもあります。そして本作では、悲しい恋の行く末が描かれています。

①ドミトリーとイリナ(フェリックス、オリガ)

物語冒頭で舞踏会をエスケープしたドミトリー【朝夏(あさか)まなとさん】とイリナ【伶美(れいみ)うららさん】が、セルゲイ大公邸の近くの雪原で踊る場面からも、二人がお互いを思い合っているのがわかります。
しかし、ドミトリーにとってイリナは叔父の妻、イリナにとってドミトリーは夫の甥。その場面では胸に秘めた思いを打ち明けることはせず、「難しい時代だが、お互い自分の信念に従って生きよう」と誓い合い、ドミトリーはペトログラードへと旅立っていきます。

そんな二人が最後に会うことができたのは物語終盤、ドミトリーがペルシャへ送られる汽車から飛び降りて、セルゲイ大公邸に残ったイリナに会いに来た場面。最後にドミトリーが別れを告げるセリフが印象的です。

「一度呼んでみたかった、初めて会ったときからずっと。あなたが結婚する前の名前を。イレーネ…」

好きとか愛しているとか、直接的な言葉ではないのにドミトリーのイリナへの思いがひしひしと伝わってくるセリフ。
これを最後に二人はもう二度と会えないのだと思うと胸が詰まり、観劇中はこの場面でつい涙ぐんでしまっていました…。

この場面では、フェリックス【真風 涼帆(まかぜ すずほ)さん】も身の危険を冒しながら車で追ってきて、ドミトリーに逃げるよう説得します。
そして、亡命を拒んでロシアに残ったイリナが投獄された際には、彼女を助けるために貴重な絵画のコレクションを全てボリシェヴィキに渡すなど、彼のドミトリーへの愛情にも似た友情が描かれています。

しらこまる

常にクールな印象の役柄ですが、所々で内に秘めた熱さが現れる言動がカッコよく、意外にも母ジナイーダ【純矢(じゅんや)ちとせさん】を「ママ」と呼んでいるところがかわいい、ギャップ萌えなフェリックス。
彼も本作で好きな登場人物のひとりです✨

また、皇帝の長女オリガ【星風(ほしかぜ)まどかさん】も、ドミトリーに恋をしていました。

最初はかわいらしい少女だったオリガですが、ドミトリーに様々な場所へ連れ出してもらうことで、民衆が皇帝一家をどのように見ているのかを知るようになります。

物語終盤、彼女が家族に話したことによってクーデターが失敗し、ドミトリーがペルシャ戦線に送られることになりますが、ドミトリーを許すことで国民に譲歩し、国民や貴族と和解することが自分たち家族のために必要だと母アレクサンドラ皇后に訴えます。

結局その訴えはアレクサンドラに届きませんでしたが、彼女の悲しみを理解して母を抱きしめる姿に、オリガの成長が感じられます。

しらこまる

この後、オリガを含む家族全員が残らず銃殺されてしまう皇帝一家。
それを思いながら観ていると、悲しいというか苦しいというか…。

コンスタンチンとラッダ

ドミトリーの友人で近衛騎兵将校のコンスタンチン【澄輝(すみき)さやとさん】と、彼らの馴染み酒場ツィンカの歌手ラッダ【瀬音(せおと)リサさん】。

お互い愛し合っているのですが、ラッダの弟で活動家のゾバール【桜木(さくらぎ)みなとさん】の目を避けて、関係を公にできず忍んで会っている二人。

ところが、ドミトリーとオリガの婚約披露パーティー当日、コンスタンチンがイリナを駅に迎えに行くとラッダに話しているのを盗み聞きしたゾバールたちによって、イリナを狙った爆破事件が起こり、友人の一人であるロマン【瑠風 輝(るかぜ ひかる)さん】が犠牲になってしまいます。

イリナを駅に迎えに行くことを話したのはラッダだけだったため、すぐにドミトリー、フェリックス、コンスタンチンたちが秘密警察と共にツィンカに踏み込み、一斉に銃で発砲。

コンスタンチンもゾバールを狙って撃ちますが、その銃弾はゾバールをかばったラッダに当たり、彼女はそこで息絶えてしまいます。
ラッダの末の弟ミーチャ【優希(ゆうき)しおんさん】も、コンスタンチンに襲いかかろうとしてドミトリーに撃たれ、気づくと店にいた人々がみんな死んでしまっている・・・。

この1場面の間、ミーチャが撃たれて暗い静寂が訪れるまで、息を止めて見入ってしまう場面です。

自分が撃った銃弾で愛する人を死なせてしまった、恋人に秘密を漏らしたせいで友人が死に、恋人の弟や仲間たちまで命を落としてしまった・・・このときのコンスタンチンに思いを馳せると、ただもう苦しくて胸が痛いです。

しらこまる

コンスタンチン役の澄輝(すみき)さやとさん。ラッダを撃ってしまった後の演技が難しく、役作りに苦労されたそうです。

ドミトリーがオリガとアレクセイを店に連れて来た日、コンスタンチンが赤い薔薇の花束をラッダに手渡す場面…
秘かに会って、「君を妻にしたい」と言うコンスタンチンにラッダが抱きつく場面・・・

思い返すと、個人的に心に残っている好きな場面の大半は、コンスタンチンとラッダの場面でした✨

出演者たちの”こだわり”と”美学”に魅せられる!

私が本作を劇場で観たのは、東京宝塚劇場での2回。

正直、「誰が誰とどういう関係で・・・?」っていう感じで、DVDを何回も観た今ほど物語を深く味わうということはできておらず、壮大なスケールで描かれる世界観にただただ圧倒されていました。

しらこまる

ジナイーダ【純矢(じゅんや)ちとせさん】やクセニヤ【美風 舞良(みかぜ まいら)さん】たちが、冒頭の会話の中で時代背景や社会情勢などをこと細かに話してくれているのですが、初めて観たときは内容を半分も理解できませんでした💦

しかし、最初は「難しそうな話だな・・・」と躊躇してしまったものの、素敵なお衣装や舞台装置を見ているだけで、最後まで充分に楽しめたことが思い出深い作品です!

まず、近衛騎兵将校たちの軍服姿!これが超カッコイイのです✨
燕尾服やスーツと並んで、軍服にもその着こなし方に、男役さんは自分なりの“こだわり”や“美学”を持っていらっしゃいます。頭から指先、足の爪先までカッコよく、美しく軍服を着こなす男役さんたち… 素敵です!

そんな男役さんたちに魅せられる場面として、本作で特にオススメしたいのは、物語前半の近衛騎兵隊任官式の場面!

赤い絨毯が敷き詰められた大階段を背に、ドミトリー役の朝夏(あさか)まなとさんを中心とした男役さん達が、軍服をカッコよく着こなし、迫力と重厚感のある音楽に合わせてクールに踊ります。

活動家ゾバール役の桜木(さくらぎ)みなとさんも、この場面では髪をすっきりセットして、軍服を着て隊列に加わっています。
長髪を振り乱してワイルドに踊るゾバールもカッコイイですが、それでもやっぱり軍服姿の桜木さんも見たかった・・・と思ったら出てた!!という嬉しいドッキリもあり、「上田先生、わかってるなぁ~!」と毎度エラそうに感嘆してしまう場面です(笑)

しらこまる

朝夏(あさか)まなとさんは、劇中で3種類(黒、緑がかった灰色、赤茶色)の軍服姿を披露しています。

個人的には、マリア皇太后の舞踏会の場面で着用していた赤茶色(というか、えんじ色?)の軍服が特に好きです!
イリナ【伶美(れいみ)うららさん】とオリガ【星風(ほしかぜ)まどかさん】、それぞれとダンスを踊るのですが、素敵なドレスで着飾ったお二人と組むと見た目もさらにカッコよく映える!

退団したら男役をやる機会も、軍服を着る機会も無くなりますから、今思えばこれが見納めだったのですね・・・(T_T)

また、王族・貴族の女性たちが着ているドレスも、素敵な色あいと刺繍が印象的です。

そして、娘役さんは手作りされる方が多いというアクセサリー💎

役柄や着用するお衣装にあわせて、公演や場面ごとにご自身で用意するので、それぞれに個性やセンスが光ります✨
特に本作は高貴な身分の女性がたくさん登場するので、煌びやかなものが多く、画面越しに見ているだけでも胸がワクワクします!

上級生から下級生まで、皆さんこだわりを持ってアクセサリーを選んだり作ったりされていて、髪型のセットやカツラもご自身で考えて用意されるので、宝塚の娘役さんは本当にすごいなぁと思います。

娘役さんが舞台で身に着けているものは、その方の“こだわり”や“美学”がいっぱい詰まったもの。それらをじっくり見てみることも、観劇やDVD鑑賞の楽しみ方のひとつです。

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お衣装やアクセサリーに加えて、荘厳な宮殿からどこまでも広がる雪原まで、建物の装飾や小道具なども、細かいところまでリアルに作られているので、一気に物語の世界に引き込まれます。

使用楽曲の試聴・購入について

本作で使用された楽曲は、下記の公式サイトから試聴・購入が可能です✨

 Quatre Rêves ONLINE / TAKARAZUKA REVUE MUSIC

しらこまるのタカラヅカ小話「観劇当時の思い出」

本作は、私が劇場で観た宙組公演としては2作目の作品です。
その前の大劇場公演『王妃の館-Château de la Reine-』『『VIVA! FESTA!』を宝塚大劇場で観劇してから宙組ファンになり、宙組の過去作品をDVDで繰り返し観るようになりました。

『ヴァレンチノ』『TOP HAT』『メランコリック・ジゴロ-あぶない相続人-』『シトラスの風III』『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』『バレンシアの熱い花』『HOT EYES!!』・・・などなど。

これらのDVDを繰り返し観るうちに、多くの宙組のタカラジェンヌさんのファンになっていき、本作『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』を観劇する頃には、もう何年も宙組ファンであったかのような親しみを感じていました。

しらこまる

当時、宙組公演の観劇はまだ2作目でしたので、実際の宙組ファン歴は1年にも達していませんでした・・・💦

その頃に好きになった方や本作に出演されていた方の中には、その後組替えになったり、現在は既に退団されている方も多いのですが、当時の宙組の皆さん一人一人が舞台上で力強く生きていることを感じられた作品のひとつとして印象に残っています。

東京公演のプログラムを初めて読んだとき、「全ての登場人物たちが舞台で生きた記憶のような作品にしたい」「宝塚がいつまでも、そこで懸命に生きた生徒たちのものであり続けますように」という演出の上田久美子先生の言葉が、そのまま私たちのようなファンや観客の宝塚歌劇への“思い”や“願い”に通ずると思いました。
それ以来、意識しているわけではないのですが、どの組の公演を観劇するときも心の奥底でそんな願いを抱きながら、愛好家歴を重ねてきたような気がします。

「私は自分が何のためにこの国に来たのか、何のために生きているのかを知りたい。(略)私もこの国で、自分にできることがしたいの」

(状況が悪化する戦線を思って)自分の無力が辛い。こんな時代に、私たち皇族は何のために生かされているのかしら。」

これらは劇中に登場するイリナ【伶美(れいみ)うららさん】のセリフなのですが、本作は厳しい状況の中で、登場人物たちがそれぞれ何を思い、どのように行動するか、どこまで信念を貫けるのか・・・それぞれの立場で、様々な葛藤と向き合いながら懸命に生きた人々が描かれています。

頑張れば頑張っただけ必ず報われるというわけでもない、「絶対」と言えるものが毎日どこかで消えていく・・・そんな今だからこそ、観ていて心に響く要素がたくさん含まれている作品だと思います。機会があれば、ぜひ手に取ってみて頂きたい作品です!

しらこまる

愛月(あいづき)ひかるさんのファンの方で、本作をご覧になったことのない方には特に、一度は観てみてほしい一作です。
正直、ラスプーチン役を演じられた愛月さん・・・終始恐ろしいです。
劇場で観たとき、背筋がゾクゾクしっぱなしになるくらい不気味でしたが、この役と数ヶ月間に渡って向き合い、理解を深め、役作りをされてきた愛月さんに、役者さんとして尊敬の念を抱かずにはいられません。
狂信者役を演じられた花音 舞(かのん まい)さん瀬戸花(せとはな)まりさんも含め、お三方の怪演ぶりに心をわしづかみにされた作品でした。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!この記事が、あなたにとって「次なる宝塚作品との出会い」のきっかけになれましたら嬉しいです。

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