ブロードウェイでの初演(1950年)では1200回ものロングランを記録した、ミュージカル・コメディの傑作のひとつ!
宝塚歌劇では過去に2度上演され、今回ご紹介する2015年星組版は3度目の上演となりました。
※公演の詳細はこちら→宝塚歌劇団公式HP
DVD / Blu-ray 収録情報
- タイトル:ブロードウェイ・ミュージカル『ガイズ&ドールズ』
- 脚本:ジョー・スワーリング / エイブ・バロウズ
- 脚色・演出:酒井 澄夫
- 主な出演者:北翔 海莉(ほくしょう かいり)/ 妃海 風(ひなみ ふう)/ 紅(くれない)ゆずる
- 収録年月日:2015年9月1日 宝塚大劇場にて
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あらすじ
舞台は1948年頃のアメリカ、ニューヨーク。
ギャンブラーのネイサン・デトロイト【紅(くれない)ゆずるさん】は、ナイトクラブ「Hot Box(ホット・ボックス)」の花形歌手アデレイド【礼 真琴(れい まこと)さん】と婚約中。しかも婚約14年目!
早く結婚したいとやきもきするアデレイドをそっちのけに、クラップゲーム(サイコロ賭博)の開催場所を探す日々を送っているが、ブラニガン警部【美稀 千種(みき ちぐさ)さん】の取り締まりが厳しくなったせいでなかなか開催場所が見つからない。
目をつけていたビルトモア・ガレージも、前金で千ドル必要らしい。
そんな金があるはずもなく困り果てるネイサンに、他のギャンブラー達はクラップゲームの開催をせがむばかり・・・💦
そこへ、ラスベガスで5万ドルを儲けたスカイ・マスターソン【北翔 海莉(ほくしょう かいり)さん】が、意気揚々としてやって来た。
ビルトモア・ガレージを借りるための前金千ドルを手に入れたいネイサンは、自分が指名する女を、スカイが一晩で口説き落とせるかどうかに千ドルを賭けようと提案する。
プレイボーイを自認するスカイは余裕たっぷりにこの賭けに乗るが、ネイサンが指名した女は、お堅いことで有名な救世軍の娘サラ・ブラウン【妃海 風(ひなみ ふう)さん】だった!
果敢にも教団に乗り込んだスカイは、伝道の成果が上がらないことに落ち込んでいるサラに、ハバナでディナーを共にしてくれたら、次の集会に1ダースの罪人を出席させるという取り引きを持ちかけた。
潔癖症のサラは頑にスカイを拒んでいたが、教団存続のためにと、ついにスカイの申し出を受け入れ、ふたりはキューバのハバナへと飛ぶ。
ハバナの開放的なムードの中でカクテルを飲み、酔っぱらったサラは乱闘騒ぎを起こしてしまうが、その後すっかりスカイに心を預けるようになる。
スカイはそんなサラを愛おしく思うと同時に、だからこそ口説く気になれず、そのままふたりは帰路につくのだった。
翌日ニューヨークへ帰って来ると、夜明けの静けさがふたりの心をほぐし、素直な気持ちにさせていく。お互いの気持ちに触れて、恋の喜びを胸いっぱいに感じるふたり・・・―。
そこへ、救世軍の面々が徹夜の集会から戻って来る。一同が教団へ入ろうとすると、けたたましいサイレンの音と共に、ネイサンを始め沢山のギャンブラー達が慌てふためいた様子で飛び出してきた!
はるばるシカゴからやって来た大物ギャング、ビッグ・ジュール【十輝(とき)いりすさん】に急かされたネイサンは、大胆にも留守中の教団内部でクラップゲームを開催していたのだ。
スカイがこのために自分をだまして連れ出したのだと思い込んだサラは傷つき、スカイを突き放して去って行く。
サラを本気で愛してしまったスカイは、その想いを断ち切る為にニューヨークを去る決意をするが、その前に彼女との約束を守るため、ネイサン達に賭けを申し込む。
スカイが勝てば全員で教団の集会に出席し、スカイが負ければ皆に千ドルずつ払うというのだ。
どうしても負けられない賭けに、果たして運命の女神は誰に微笑みかけるのだろうか・・・―。
見ごろ!見どころ!オススメどころ!
プレイボーイを自認するギャンブラーと、救世軍のお堅い女の子の恋物語を描いた『ガイズ&ドールズ』。
陽気な音楽とウィットに富んだセリフ、登場人物たちのテンポの良いかけあいで繰り広げられる、最高に楽しい2時間半です!
この項目では、本作の魅力やオススメの場面についてお伝えしていきます!
おもしろくて愛らしい?個性的で人間味にあふれた登場人物たち!
本作を「ミュージカル・コメディの傑作」と言わしめているものは何か、最高に楽しい2時間半に観客が胸ときめかせる魅力がどこにあるのか…。
その問いに対してまず思いあたるのは、個性的で人間味にあふれた登場人物たちの存在そのもの!
出演者の皆さんがユーモアたっぷりに演じることで、舞台上にそのキャラクターの人生が息づく…舞台ならではの臨場感や、ギャンブラー達が創り出す“チョイ悪オシャレ”な世界観を楽しめる作品です。
特に、ウィットに富んだセリフと、登場人物同士の軽妙なかけあいから、それぞれのキャラクター特有の魅力が醸し出されます。
脚色・演出の酒井 澄夫先生が、初めて宝塚での舞台化が決まった1984年当時、ニューヨークのプロモーターにこんな言葉をかけられたそうです。
「この作品において演出家は何も心配することはない。役者が喋るだけで、セリフの三行に一度は客席が大笑いするから大丈夫」と。
(出典:2015年星組『ガイズ&ドールズ』公演プログラム)
そのプロモーターの言葉通り、観劇中に何度笑ったことか!
中でも紅(くれない)ゆずるさん演じるネイサンが登場すると、本当に「セリフの三行に一度は客席が大笑いする」場面になります!
ギャンブラー達にクラップゲームの開催をせがまれてはごまかし、アデレイドに結婚をせがまれても言葉巧みにごまかす!チャーミングなおヒゲをはやしてニヤリと笑い、喋る・喋る・喋る!
信用できないけど悪人ではなく、どこか愛らしくて憎めない性格。
ネイサンのセリフは、それ自体を文字に起こしたくらいでは十分にそのおもしろさを伝えることはできなくて、紅さんが全身全霊で演じているネイサンの口から発せられて初めて血が通い、そこに笑いが生まれていきます。
すると不思議なことに、ネイサンが登場するだけで「あ、出てきた出てきた!また何かおもしろいことを言ってくれるんじゃないか」と勝手に期待してしまうようになる・・・。
あらゆる物語の中で、そんな登場人物にはなかなか出会えるものではありません。それだけでも、一度はこの作品に触れる価値が大いにあると思います!
ほぼネイサン【紅 ゆずるさん】について書いてきましたが、主人公スカイ【北翔 海莉(ほくしょう かいり)さん】&ヒロインのサラ【妃海 風(ひなみ ふう)さん】はもちろんのこと、他にも魅力的なキャラクターがたくさん登場します。
例えばシカゴから来た大物ギャングで、その恐ろしさを知る者はこの世にいないというビッグ・ジュール【十輝(とき)いりすさん】。
片手に自分と同じ衣装を着せたテディベアを持ち、口を開けば「クラップやろうぜ」と凄む。
物語後半で見ることができる彼のかなりお茶目な一面には、つい「かわいい♡」とつぶやいてしまいます♪
また、ネイサンの婚約者であるアデレイド【礼 真琴(れい まこと)さん】。ネイサンのことが大好きで、とにかく言動のすべてがかわいい!
この記事を執筆している2022年7月現在、星組トップスターとして活躍中の礼 真琴さんが演じています。
カッコイイ礼さんしか観たことがないというファンの方に、ぜひアデレイドを演じた礼さんを観てほしいです!
ネイサンとの息の合ったかけあいを繰り広げる場面も好きですが、物語終盤にタイムズ・スクウェアの近くでサラと出会い、「私はアデレイド!かの有名な・・・万年フィアンセ・・・」と自己紹介するアデレイドが特に好きです♪
おもしろいだけでなく、一度言ってみたい素敵なセリフも所々で登場します。
特に、主人公のスカイ【北翔 海莉(ほくしょう かいり)さん】が言葉巧みにサラ【妃海 風(ひなみ ふう)さん】を口説く場面で、彼の頬を殴ったサラに対して言う、「また来るよ、もう片方(の頬)も殴りたいだろうから」というキザなセリフが印象的です。
また、救世軍の一員でサラの後見人アーヴァイド【天寿 光希(てんじゅ みつき)さん】の「コーヒーがこれほど美味しいのに、なぜ罪にならないのか。わからん!」というセリフは、いつか喫茶店で美味しいコーヒーに出会った際に言い放ってみたいセリフです(笑)
陽気な音楽♪これぞブロードウェイ・ミュージカル!
まだそこまで宝塚にハマっていなかった頃の私が、初観劇の際に実況CDを即購入してしまうくらい、音楽だけでも楽しめるところも本作の大きな魅力です。
この項目では、これぞブロードウェイ・ミュージカル!な陽気で明るい音楽、うっとりしてしまうような音楽を3曲に絞ってご紹介します♪
♪ガイズ&ドールズ♪
ネイサンのギャンブル仲間であるナイスリー【美城(みしろ)れんさん】、ベニー【七海(ななみ)ひろきさん】、ラスティ【麻央 侑希(まお ゆうき)さん】の3人組が、サラに相手にされないスカイを見て、千ドルはネイサンのものだと大喜びで歌うナンバーです。
雨の中で待ち続けるのも、高い家賃を払い続けるのも、怠け者が働きだすのも、すべてはどこかの女のため…。
歌詞の内容は、女に恋をしてフヌケになった男たちを茶化しているものなのですが、そんな男たちの“かわいらしさ”や“愛らしさ”をも陽気に歌い上げています。
「♪哀れでおかしいが 賭けに負けるより良い 女のためにすることなら」
「♪バカか利口か 何とでも言えば良い すべてどこかの女のため すべては女のためにすること」
♪はじめての恋♪
第2幕の序盤、ハバナから帰ってきたスカイとサラが、恋の喜びに酔いしれて歌うナンバー。
スカイが、「オメディア・マスターソン、俺の本名さ。はじめて人に教えた…」と言って歌いだすのですが、曲自体のメロディだけでなく、北翔さんと妃海さんの甘やかな歌声にもうっとりしてしまいます。
「♪はじめての恋を教えた君 忘れないよ 今まですべてを知りつくした 俺なのにさ」
「♪恋のワイン 甘く強く 心に歌あふれてくる この想い許してほしい はじめて知るこの恋」
フィナーレのデュエットダンス(宝塚作品で必ず披露される、トップスターとトップ娘役によるダンス)でも、少しテイストを変えて使用されている素敵な曲です♪
本作のなかで一番好きな曲です!聴いているうちに自然と目を閉じ、胸の前で手を組んでお祈りポーズをしてしまいます(笑)
♪運命よ、今夜は女神らしく♪
第2幕の中盤の、下水道で催されたクラップゲームの場面で歌われるナンバー。
スカイが勝てば全員で教団の集会に参加し、負ければ皆に1000ドルずつ払うという絶対に負けられない賭けを前にして、スカイが運命の女神に祈りを捧げて歌います。
スーツをビシッと着こなしたギャンブラー達も歌とダンスに加わり、見応えのあるカッコいい場面です!
第1幕の開演後、スカイがひとり舞台上に現れて歌う曲でもあるので、こちらも記憶に残る名曲のひとつとなっています♪
すべてを物語るカートライト将軍のひとこと
第2幕終盤、スカイとの賭けに負けたギャンブラー達が、教団へやって来て集会に参加する場面。
この集会に彼らがやって来た理由は、本心から自分たちの罪を悔いたためではなく、スカイとの賭けに負けたからであることが、救世軍の女将軍カートライト【万里 柚美(まり ゆずみ)さん】に知られてしまいます。
しかし、落胆した様子のサラと、ソワソワと心配そうに彼女を見る救世軍メンバーをよそに、カートライト将軍は明るく言います。
「なんて素晴らしい!この集会はギャンブルのおかげということね。悪よりも善が勝ずるという証拠ですわ!」と。
そして、集会の成功を見届けたスカイはその場を去り、ネイサンの告白によってスカイに対する誤解が解けたサラは、急いで彼の後を追っていきます・・・―。
ネイサンがスカイに持ちかけた賭けから、スカイとサラの間に「はじめての恋」が生まれ、紆余曲折の末に実を結ぶ。カートライト将軍のひとことが、この恋の顛末を物語っています!
カートライト将軍を演じた万里 柚美さん、当時は星組の組長さんでした。
初観劇で万里さんを見たとき、「宝塚の人って、やっぱり綺麗だな~!」としみじみ思ったことが印象的な思い出です。 この観劇で万里さんに出会って以来、「美魔女」と聞いてまず思い浮かぶのが万里さんのお姿になりました。
今も変わらぬ美しさで、専科生として活躍されている万里さん。これからも応援しております!
しらこまるのタカラヅカ小話「観劇当時の思い出」
この記事の冒頭でも書きましたが、今回ご紹介した2015年星組『ガイズ&ドールズ』が私の観劇デビュー作品です✨
大学4年生だった当時、長かった就職活動を終えて開放的な気分(劇中、ハバナで酔っ払ったサラのように)になったところ、BSプレミアムで放送されていた1992年月組『珈琲カルナバル』『夢フラグランス』を観て宝塚歌劇の世界観に魅了されました。
ぜひ実際の舞台を観てみたい!と思った私は、伯母にチケットをとってもらい、11月の東京宝塚劇場へ。
きらめくシャンデリアを見上げて、圧倒されつつもワクワクしたロビー。
劇場に入ると聞こえてくる楽器のチューニングの音、独特な香り、開演前のウキウキとした周囲の雰囲気。
そして、今このとき目の前で芝居を繰り広げ、セリフを喋り、音楽に合わせて歌い踊っている出演者のみなさん(全員美しく、カッコイイ)・・・!
こんなに素晴らしい世界があっただなんて!なんで今まで知ろうとしなかったんだろう!・・・と、めちゃくちゃ感動したあの日を忘れられません💎
素晴らしい演目に、北翔 海莉さんと妃海 風さんの素敵な歌声、ネイサンを演じる紅 ゆずるさんの超コミカルなお芝居、チャーミングな礼 真琴さん・・・。
まともに舞台作品を観たことがなかった人間が、はじめて劇場で観た作品が『ガイズ&ドールズ』なら、誰だってその世界観に魅了されるでしょう・・・少なくとも私はそのひとりです。
そして間違いなく、本作の観劇によって宝塚歌劇に恋をしてしまいました。
今でもふと思い返す度に、「この作品で観劇デビューできて良かったなぁ」と思います✨
就職活動は終わったものの、卒業論文の苦しみからは解放されていなかった当時。
観劇翌日が卒業論文の中間報告だったのですが、休み時間に「その場で実況CDを即購入するほど感動した!」と、先生やゼミ生仲間相手に熱弁をふるったとき、あきれた笑顔で「それは相当だわね」と仰った先生のひとことも忘れられません(笑)
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!この記事が、あなたにとって「次なる宝塚作品との出会い」のきっかけになれましたら嬉しいです。
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こんにちは、しらこまるです!
今回は、2015年星組『ガイズ&ドールズ』をご紹介します。
それまでまともに舞台観劇をしたことのなかった私が、初めて東京宝塚劇場で観劇した作品・・・まさに「この作品を語らずして現在を語るなかれ!」な演目です!
※『琥珀色の雨にぬれて』で主人公クロード【望海 風斗(のぞみ ふうと)さん】が、友人のミッシェルに言うセリフ「タンゴを踊らずに現代を語るなかれだ!」より。