11人の男達がラスヴェガス最大のカジノホテルの金庫破りに挑む、痛快かつスリリングな物語です。
有名なハリウッド映画『オーシャンズ11』を原作とする作品で、2011年に星組で初演、その後2013年に花組で再演されました。
今回ご紹介するのは、3度目の上演となる2019年宙組版です。
2011年星組の新人公演で主人公ダニー・オーシャン役だった真風 涼帆(まかぜ すずほ)さん、その昔馴染みラスティー・ライアン役だった芹香 斗亜(せりか とあ)さんが、本作で再び同じ役を演じている点も見どころです!
さらに105期生の初舞台公演とあって、ひときわ華やかな舞台となっています。
※公演の詳細はこちら→宝塚歌劇団公式HP
目次
DVD収録情報
- タイトル:ミュージカル『オーシャンズ11』
- 脚本・演出:小池 修一郎
- 主な出演者:真風 涼帆(まかぜ すずほ) / 星風(ほしかぜ) まどか / 芹香 斗亜(せりか とあ)
- 収録年月日:2019年5月7日 宝塚大劇場にて
この記事の下書きを作成してから気がついたのですが、本作のDVD/Blu-rayは、既に新品が市場に流通していない状況です。
しかし、本当に素晴らしい作品ですので、いつか視聴できる機会が訪れた際に参考にして頂けるよう、記事はそのままアップしたいと思います。
※ご参考まで・・・Amazonで価格を確認してビックリしました💦
あらすじ
証券詐欺で服役中の天才詐欺師ダニー・オーシャン【真風 涼帆(まかぜ すずほ)さん】は、仮釈放をむかえた日に、妻のテス【星風(ほしかぜ)まどかさん】が自分と離婚しようとしていることを知る。
ラスヴェガスに新しく建設されるホテルのショースターとしてデビューが決まり、これを機に犯罪歴のあるダニーと別れたいらしい。
しかもテスは、そのホテルのオーナーであるテリー・ベネディクト【桜木(さくらぎ) みなとさん】の新しい恋人であるという噂もある。
今でもテスを愛するダニーは衝撃を受けつつも、ラスヴェガスで昔馴染みのラスティー・ライアン【芹香 斗亜(せりか とあ)さん】と落ち合い、ベネディクトが経営するホテルPARADISO(パラディソ)の金庫から、莫大な額の売上金を奪うことを計画する。
冷酷非道な手段でラスヴェガスを牛耳る「本物の悪党」・・・それがベネディクトの正体だった。そんなベネディクトにひと泡吹かせてやるため、2人は計画実行に向けて仲間集めを開始する。
経営するカジノをベネディクトに潰されたルーベン・ティシュコフ【凛城(りんじょう)きらさん】
開催予定だったマジックショーをベネディクトに潰されたマジシャンのバシャー・ター【蒼羽(そらはね)りくさん】
バシャーがマジック指導をしている雑技団のヨーヨー達人イエン【秋音 光(あきね ひかる)さん】
イカサマがばれてラスヴェガスを追われたディーラーのフランク・カットン【澄輝(すみき)さやとさん】
天才ハッカーのリヴィングストン・デル【瑠風 輝(るかぜ ひかる)さん】
映像加工でバーチャル世界を創り出すモロイ兄弟【バージル:優希(ゆうき)しおんさん / ターク:鷹翔 千空(たかと ちあき)さん】
元カリスマ詐欺師ソール・ブルーム【寿(ことぶき)つかささん】
伝説のスリを父に持つライナス・コールドウェル【和希(かずき)そらさん】
ダニーとラスティーの奔走の末、それぞれ飛び抜けたスキルを持つ9人の仲間が加わり、11人(イレブン・メンバー)が揃った。
そしてついに、大胆不敵かつ壮大な計画が決行される時がやって来た-。
見ごろ!見どころ!オススメどころ!
ハリウッド映画さながらの迫力とスリリングなストーリー展開が楽しめる本作。今後も度々再演されるであろう名作の1つです。
この項目では、本作の魅力やオススメの場面、2019年宙組版ならではの見どころについてお伝えしていきます!
ときめかずにはいられない?スーツを着こなす宙男たちのカッコ良さ!
幕が開いて3分後のプロローグ(ダニーがラスヴェガスに向かう場面)。
♪FATE CITY♪というクールな曲に合わせて、ダニー【真風 涼帆さん】を中心にスーツ姿の男役さんたちがカッコよく踊る場面から既にテンションMAX!
作中でおじいさんやオネエ系、さえない3枚目などの役柄を演じている方々までが一旦役を離れ、スーツの着こなしや指先、視線にまでこだわりぬいた身のこなしを披露しています。
そんな期待に胸高鳴るプロローグから最後のフィナーレまで、男役さんたちのカッコよさに目を離せない作品です!
♪FATE CITY♪の場面には出ていなくて、しかも悪役のベネディクト【桜木みなとさん】。
結構ゴツい指輪や男性用の腕時計をはめているのですが、全く違和感が無いどころか似合いすぎて「体の一部!THE 男の手!」のようで、つい手もとに目が吸い寄せられてしまいます。
特に第1幕序盤で、ベネディクトがテスに長めのキスをしながらその手に指輪の入ったケースを握らせるシーンは、息を止めてドキドキしながら観てしまうくらいカッコイイです!
中でも特にカッコいいのは、やっぱり主人公ダニー・オーシャンですね!
余裕たっぷりでユーモアもある大人の男・・・歌っても踊っても話していても、黙って立っているだけでもとにかくカッコイイ!それが、詐欺師ダニー・オーシャン。
そんなダニーが、第2幕中盤PARADISOのカジノで1人舞台に残り、自分と離婚しようとしている妻テスへの変わらぬ思いを、♪愛した日々に偽りは無い♪という曲に乗せて歌う場面があります。
「一つだけ真実は 君との時間 誰にも消せはしない」
「失うものなど何一つない俺だけど 君だけはなくしたくない」
いつもの余裕を感じさせずひたすら真剣に、テスを思う気持ちを言葉にして歌に乗せるダニー…。
カッコつけてキメている場面も好きですが、個人的にはこの場面が一番胸に迫り、ダニーの人としてのカッコよさを感じる見どころポイントです!
出所したダニーと再会したテスが、自分に対する彼の一途な思いに触れていくうちに心が揺らぎ、気持ちが変わっていく様子にもぜひ注目して頂きたいです!
テスを演じた星風 まどかさんを他の作品で拝見する度に、矛盾した感情に葛藤する役柄を演じる際の表情や台詞の言い方、醸し出す雰囲気づくりがすごく素敵でお上手な方だなあと感じます。
所々でマジックやアドリブも楽しめる!
マジックやヨーヨーなどのパフォーマンス、公演ごとに異なるアドリブが盛りだくさんなところも、本作を楽しむポイントです。ここでは、いくつか場面を取り上げてご紹介したいと思います。
マジックやその他のパフォーマンス
本作では、クイーン・ダイアナ【純矢(じゅんや)ちとせさん】の大がかりなマジック・ショー(リハーサル場面)を始め、何も入っていないはずの箱から人が出てきたり、バシャー【蒼羽(そらはね)りくさん】が操るステッキが宙に浮いて見えるなど、お芝居の最中でさりげなくマジックが披露されます。
マジックの他にも、ヨーヨー達人イエン【秋音 光(あきね ひかる)さん】は、舞台の中央で技を見せる場面のみならず、他の出演者に観客の視線が移るような場面でもヨーヨーの技を披露しているので、つい目で追ってしまいます。
バシャーとイエンがイレブン・メンバーの仲間入りをする場面は特に、雑技団の団員役の出演者たちも一輪車や組み体操などに挑戦しているので、当時は観劇するたびに心の中で「頑張れ!」と応援していました。
舞台上でお芝居をしつつ、技などを自然に披露できるってすごいですね…かなり練習されたのだろうなぁと思います。
芸事に関係なさそうなことにも必要になったら問答無用で挑戦し、本番でそれをちゃんと披露できるまでに完成させていく・・・こちらからは見えない姿や努力を感じられて、自分ももっと頑張ろう!という気持ちになりました。
また、フランク・カットン【澄輝(すみき)さやとさん】を始め、カジノのディーラー役の出演者たちのトランプさばき、チップの取り扱いなども注目です!
アドリブ
宝塚歌劇では、作品によって特定の出演者が一部アドリブを披露する場面があります。
それは日替わりだったり、公演ごとに毎回違ったりするので、熱心なファンの方にとっては大変楽しみな演出だと思います。
ただ、アドリブは何の前ぶれもなく急に始まるので、初めてその作品を観劇する方や、宝塚初心者さんが目の当たりにすると、「意味わからん」となってしまうことも多く、置いてけぼり感を抱いてしまうこともあります。
特定の組やタカラジェンヌさんのファンにしか通じない、いわゆる内輪ネタ的な内容も多いですしね💦
観劇中に、なんだか話の流れがおかしいなと思ったり、それなのに周りからは笑いが起こっているというような場面は、ほぼアドリブが披露されている場面なので、意味がわからなくてもその場の雰囲気を楽しめると良いなと思います。
そこで、この項目では、本作に出てくる主なアドリブ場面を3つ取り上げたいと思います。
①第1幕第7場B ベネディクトのオフィス
ベネディクトとその部下たちが、緑地再生を推進するNPO団体「EVER GREEN PROJECT」の主催者であるウッズ夫妻【夫ハリー:星吹 彩翔(ほしぶき あやと)さん / 妻アン:美風 舞良(みかぜ まいら)さん】に、当団体が所有する森林の譲渡を迫る場面です。
そこにベネディクトの正体を知らないテスが入ってきて、何をしていたのかと聞かれたベネディクトがとっさに「みんなで○○をしていたんだ」と答える部分がアドリブになっています。
ベネディクト以外の舞台上の出演者たちが、アドリブに対して全力で対応する様子がコミカルで、毎回楽しみにしていました。
②第2幕第2場 ソールの演技指導
イレブン・メンバーが作戦当日の役割分担を確認する場面で、ソール【寿(ことぶき)つかささん】が他のメンバーに「じゃあこれをやってみろ・・・」と演技指導をする内容がアドリブになっています。
他のメンバーが笑いをこらえながらカッコよく対応するのですが、それぞれ役から離れた素の表情が垣間見えて、毎回微笑ましいアドリブシーンになっていました。
③第2幕第9場B ラスティーの変装
作戦決行当日、大富豪ドクトル・ゼルガに扮したソール【寿 つかささん】がPARADISOに潜入した後、心臓発作で倒れた(作戦上の演技)彼を、医師ジョンソンに扮したラスティー【芹香 斗亜さん】が現れて救急医療センターに運ぼうとする場面です。
ラスティーが毎回、「この患者(ゼルガに扮したソール)には心臓疾患の持病がある。即刻入院・手術が必要なんだ」と、様々なバリエーションでベネディクトに絡んでいくシーンがアドリブになっています。
現役またはOGのタカラジェンヌさんが観劇に来ると、その方にちなんだ変装をすることもあり、その様子が機関誌『歌劇』の「組レポ」コーナーにも掲載されていました。
これまで他の作品でも芹香 斗亜さんのアドリブシーンを楽しんできましたが、毎回ご本人が誰よりも楽しんでアドリブを考え、演じていることがよく伝わってきます。
※番外編?
DVD化されて残っている映像ではわかりにくいのですが、ショー・プロデューサーでオネエ系なハロルド【春瀬 央季(はるせ おうき)さん】が、怒り狂ってはけていくダイアナ【純矢 ちとせさん】に向かって言う台詞のアドリブも、千秋楽に向けて少しずつブラッシュアップされていく様子が面白かったです。
根拠の無い不安に襲われて心がザワつくときに背中を押してくれる楽曲たち♪
時々、何の前ぶれもなく根拠の無い不安に襲われて、心がザワザワすることはありませんか?
本作では、そんな日に背中を押してくれる楽曲が登場します。軽快に励ましてくれる歌詞、不思議と元気がわいてくるメロディ…。
ぜひ、だまされたと思って一緒に歌ってみてください!
♪NEVER GIVE UP♪
第1幕第4場 クラブ・エル・チョクロの場面で歌われる楽曲です。
ダニーたちの馴染みのクラブ・エル・チョクロ。新しいホテルの建設のため、ベネディクトから執拗に狙われているますが、オーナーのリカルド【松風 輝(まつかぜ あきら)さん】は「このちっぽけな店に俺の夢がつまっている」と言って譲りません。
それを見たダニーが歌いだし、リカルドや他の人々も歌に加わっていきます。
「♪小さな夢も 大きな夢も 夢の重さに違いは無い」
「♪どんな小さな夢だって価値はある 夢があれば 生きる希望を持ち続けられる」
「♪夢が無くては 生きてはいけない だから夢を見る力なくしちゃダメさ どんな時も諦めないで」
この曲を聴いて、就職のために挑戦もしないで夢を諦めた学生時代を思い出しました。
ここ数年、今からでも夢を追いかけたいと思うようになったのですが、「いや、今からじゃ遅いのでは?挑戦して傷つくのが怖い」と、なかなか踏み出せずにいました。
しかし、当ブログを開設することで小さな一歩を踏み出し、改めてこの曲を聴いて勇気づけられました!
♪JUMP!♪
第1幕第10場 イレブン・メンバーがクラブ・エル・チョクロに結集した場面で、伝説のスリと言われた父の存在を超えられずに悩むライナス【和希(かずき)そらさん】を、メンバー全員で「俺たちと一緒に飛ぼう!」と励ます曲です。
歌詞の内容は、サクセス知らずで踏んだり蹴ったりの人生だけど、それでもどんな壁や崖があろうと飛び越せる!という、笑ってしまうくらい根拠のない励ましの歌です。 でも、それが逆にお説教っぽくなくて、ストレートに心に響く良い歌だなぁと思います。
♪JACKPOT(ジャックポット)♪
第1幕の最後の場面で、主要人物が全員で歌う曲です。
ジャックポットというのは、スロット・マシンゲームなどで一度に莫大な金額が出る大当たりのことだそうです。
一攫千金を狙う人々の様々な思惑の中で流れるこの曲は、第2幕に向かっていよいよ盛り上がっていく様子が観ているこちら側にも伝わってきます。
曲の最後の方に、「♪負けが立て込んだ その時こそ 信じるんだ 自分の運を」という歌詞があるのですが、そこで一気に胸が熱くなります!
不利な状況に追い込まれるほど、実際には自分の運を信じられなくなりがちなので共感はできませんが、だからこそ尚更そういう心意気に憧れますね。
しらこまるのタカラヅカ小話「観劇当時の思い出」
この公演は、大好きだった純矢 ちとせさんと澄輝 さやとさんの退団公演でした。
「絶対に大劇場も観に行こう」と決めてチケットを取り、宝塚と東京、東京千秋楽のライブ中継も合わせて合計5回も観劇することができて、もうチケットの神様に感謝しかありません!
その痛快かつスリリングなストーリーを楽しみ、宙男たちのカッコよさに心惹かれ、宙娘たちの可憐さやかわいらしさに癒され、胸高鳴る楽曲の数々に元気をもらいました。
そして、純矢さんと澄輝さんの舞台人としての生き様を改めて感じ、心と記憶に焼き付けた公演でした。
観劇自体にすごく意味のある公演だったので、今DVDを観ていてもその当時のことが思い出されます。
純矢さんへ1週間かけてファンレターを書いて、本作の大劇場公演を観劇した日に、ドキドキしながら劇場のポストに投函したのも良い思い出です。
宝塚大劇場にて花道の近くの席で観劇した日のことです。
第2幕終盤 抵抗するテスが無理やりイベントのステージに立たされる場面で、ある娘役さん(セイレーン役)のドレスからふわふわした赤い羽の一部が私の手の中に舞い飛んできました。
それをチケットファイルにはさんで、大事に持って帰ったことも忘れ得ぬ思い出です。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!この記事が、あなたにとって「次なる宝塚作品との出会い」のきっかけになれましたら嬉しいです。
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こんにちは、しらこまるです!
今回は、2019年宙組『オーシャンズ11』をご紹介します。